MX2000ユニバーサルルーティングプラットフォームのデータシート

SFB（スイッチ ファブリック ボード）は、拡張性と耐障害性に優れた「オールアクティブ」の一元的なスイッチ ファブリックで、MX2000 ルーターの各 MPC スロットに最大 4 Tbps の全二重スイッチング性能を提供します。

冗長型デュアルCB-RE（コントロールボードとルーティングエンジン）は64ビットJunos OSを実行して、ルーティングプロトコル の処理およびルーターインターフェイス制御と、シャーシコンポーネント、システム管理、ルーターへのユーザーアクセスなどのコントロールプレーンの機能をサポートします。これらのプロセスをカーネル上で実行します。カーネルは専用の高帯域幅の管理チャネルを通して MPC（モジュラーポートコンセントレータ）上の PFE（パケット フォワーディング エンジン）と対話するため、制御プレーンと転送プレーンが明確に分離されます。

MX2000 の電源は、拡張性や機能を犠牲にすることなく、高度なテクノロジで電力効率を最適化します。この電源システムのアーキテクチャは、フル パワーを供給して電力供給ケーブルの冗長性を維持するための耐障害性に優れています。MX2000ルーターは、-48 V DCまたはAC電源（デルタまたはWye 3相構成）に加えて、HVDCおよびHVAC電源を備えており、必要に応じてラックに電源を追加することもできます。

MPC（モジュラーポートコンセントレータ）は、包括的なルーティング、スイッチング、インライン サービス、加入者管理と、高度な HQoS（階層型サービス品質）を提供し、多様なネットワークとサービス アプリケーションに対応します。MPC はネットワーク接続を直接提供する場合もあれば、様々なインターフェイスを接続するためにMIC（モジュラー インターフェイス カード）をMPCに収容する場合もあります。

Trio 5チップセットを搭載したMPC11Eは、スロットあたり4Tbpsのスループットを提供し、将来の革新的なプロトコルに対処するほぼ無限に近いハードウェアプログラマビリティを提供します。MPC11Eは、100GbE以上の速度向けに最適化されており、マルチレートのQSFP56DDインターフェイスで400GbE対応ポートを提供することで、100GbEから400GbEへとシームレスなアップグレードを実現します。MPC11EのネイティブMACsecへのサポートは業界初であり、パフォーマンス（スループットやレイテンシー）に影響を与えることもありません。このテクノロジはネットワークの経済性をさらに高め、帯域幅ニーズの増加に対応するとともに、これまでの機能すべてとの後方互換性もあります。

MPC6E、MPC8E、MPC9E は、MX2000 シリーズの極めて高いファブリック性能を活用するように設計されています。これらの MPC はプログラム可能な Junos Trio チップセットを搭載し、10GbE、40GbE、100GbE の極めて高いポート密度とラインレートのパフォーマンスを提供します。また、パフォーマンス管理と課金用のテレメトリをストリーミングします。

アダプターカード⁴を使うことで、MPC1からMPC5、MPC7EをMX2000シリーズで使用できるようになり、既存のMPCへの投資を保護することができます。MX2000プラットフォームは、10GbE、40GbE、100GbEの速度でポートごとのラインレートでMACsecの暗号化と復号化をすることができ、フラグメンテーション影響を与えることなく、低価格でシンプルな方法でL2通信を保護します。MX2K-MPC11Eラインカードはスロットあたり4 Tbpsのスループットを実現し、10GbE、40GbE、100GbEの各インターフェイスでMACsecを選択して有効にすることができます。MX2K-MPC9E と MX2K-MPC8E のライン カードを プラガブル MIC の MIC-MACSEC-MRATE と一緒に使用した場合、10GbE、40GbE、100Gb の速度で、MACsec 暗号化を選択的に提供できます。MPC7E-10G ライン カードは、MX2000 シリーズ ルーターの MACsec 機能を使用して、ネイティブな 10GbE 密度を実現するための選択肢を提供します。

MS-MPCをMX2000シリーズで使用するためには、アダプターカードも必要です。MS-MPCは、ネットワークエッジサービス（CGN、IPsec、ステートフルファイアウォール、DPI（ディープパケット インスペクション）、モニタリング、その他の演算処理サービス）機能を提供し、転送パフォーマンスに影響を与えずに、これらのサービスの効率的な統合をMX2000プラットフォームで直接、大規模に実行できます。MS-MPC は、専用アプライアンスを削減するとともに、運用環境の複雑さも低減します。

Junosは、信頼性の高いハイパフォーマンスなモジュラー型ネットワークオペレーティングシステムで、ジュニパーネットワークスの物理および仮想ルーティング、スイッチング、セキュリティ プラットフォームすべてで採用され、ネットワークの実装とメンテナンスに必要なコストと複雑さ、リソースを低減します。セキュアなプログラミングインターフェイス、Juniper Extension Toolkit、さまざまなスクリプティングのサポート、そして一般的なオーケストレーションフレームワークとの統合によって、Junos OSはネットワークから高い価値を引き出すことを可能にするDevOpsスタイルの管理に対応した柔軟性の高い選択肢となります。

Junos OSの詳細については、www.juniper.net/jp/ja/products/network-operating-system/junos-os.htmlをご覧ください

MX2000 シリーズは極めて高い性能を提供します（表 1 を参照）。

Trio 5チップセットを搭載したMPC11Eは、コストが最適化されたモノリシックな設計で、高密度な100GbEアグリゲーションを実現します。MPC11Eを搭載したMX2000シリーズは、スロットあたり4 TbpsのSFB3スイッチファブリックカードを活用することで、業界トップクラスの100GbEおよび400GbEポート密度を実現します（表2を参照）。

MPC11Eラインカードにはフレックスライセンスが付いており、必要に応じてソフトウェア機能を柔軟に展開することができます。それほど高いスループットを必要としない用途の場合、MPC9E シリーズ カードで MX2000 の高いファブリック性能を活用して、ラインレートのパフォーマンスで 10GbE と 40GbE のポート密度を提供します（表 3 を参照）。

MX2000シリーズユニバーサルルーティングプラットフォームは、ハードウェアとソフトウェアのさまざまな機能によって、無停止のネットワーク可用性が確保されます。MX2000 シリーズでは、ファブリックの N+1 冗長性、制御プレーンの冗長性、電力供給の N+N 冗長性、さらに電源モジュールの N+1 冗長性がサポートされています。また、バーチャルシャーシテクノロジーによりシャーシレベルの冗長性をサポートすると同時に、ユーザーは2台のルーターを単一のルーターとして管理できます。ジュニパーの LAG（リンク アグリゲーション グループ）を実装することによって、ステートフルなカードとポートの冗長性のほか、加入者とセッションの維持にも対応します。

ソフトウェアの面では、Junos OS が独自の保護されたメモリ スペースで各プログラムを独立して実行するため、個々のプロセスが干渉し合うことはありません。統合型ISSUにより無停止のOSアップグレードが可能です。一方、Junos Continuityではシンプルなプラグインパッケージの追加で、新しいハードウェアをMXシリーズルーターに追加できます。パッケージは稼働中に中断することなくインストールできます。

プログラム可能な Trio チップセットには、コンポーネント レベルのデータを監視および収集する機能が用意されていて、Junos Telemetry Interface を使用してこのデータを拡張可能な方法で、監視、分析、パフォーマンス管理のアプリケーション（図 1 を参照）およびジュニパーネットワークス NorthStar Controller にストリーミングします。

この情報は、現在の輻輳とその傾向、リソースの使用状況、トラフィックボリューム、レイテンシの特定に役立ちます。ネットワーク事業者はこの情報を利用して問題を検出し、情報に基づいてネットワーク設計の意思決定、最適化、投資を行うことができます。

MX2000 ルーター上でネットワーク エッジ サービスを直接ホストすると、ルーティングやフォーワディングのパフォーマンスに影響を与えずに、サービス固有のアプライアンスとそのオペレーティング システムや管理システムの統合や削減ができるため、運用の合理化と TCO の削減が可能です。

ジュニパーのネットワーク エッジ サービス ポートフォリオには以下が含まれています。

• Junos Subscriber Aware：加入者ごとのトラフィック ステアリング、ポリシー適用、アカウンティングに対応
• Junos Application Aware：L4～L7 トラフィック識別、ポリシーベースのトラフィック処理、アカウンティングに対応
• Junos Address Aware：IPv4 アドレス プールの保持、IPv4/IPv6 の共存、IPv6 への移行支援
• Junos Network Secure：ネットワークの保護と管理されたセキュリティを実現するステートフル ファイアウォール サービスを提供
• Junos VPN Site Secure：標準的な暗号化モードを使用して、アクセス ネットワーク上で通信のセキュリティを確保するとともに、L3 VPN 上にセキュリティを追加
• Junos Traffic Vision：ネットワークの効率化、セキュリティの強化、運用タスクのサポートに必要なきめ細かなトラフィック可視化を提供
• Junos Video Focus：スタンダードベースのビデオ監視と問題の自動対応によって、高品質なカスタマー エクスペリエンスを提供
• Junos Web Aware：HTTP の要求と応答を追跡し、タグ挿入とヘッダー エンリッチメントを可能にするパワフルなアプリケーション
• Junos L4 Load Balancer：高度な Junos OS 機能をベースにしたハイブリッド トラフィック ロード バランサーで、ネットワークの効率性を向上

ネットワーク エッジ サービスはオプションで、そのライセンスは個別になっています。MX2000 ルーターでは、複数のサービスを同時にホストできます。

ネットワークエッジサービスの詳細については、www.juniper.net/jp/ja/products/routers/mx-series/network-edge-services.htmlをご覧ください

MX2000シリーズは、クラウドグレードネットワークの考慮事項として重要性を増している、エッジルーターの電力設計と効率性に新たな基準を設定しました。

システムレベルでは、サイト固有の環境状況を満たせるように電力を柔軟にプロビジョニングすることができ、25℃未満で一貫して動作する施設ではより少ない電力をプロビジョニングできるため、運用コストを大幅に削減することができます。電力消費量も実際のハードウェア構成に基づいて動的に管理されます。MIC を取り付けたときに、最悪のケースが想定される場合にだけプロビジョニング前よりも電力が追加されます。そのほか、ファンの速度が実際の温度監視によって動的に制御されます。周囲温度では、ファンは最大出力の 20% の消費に抑えられます。

ジュニパーは、電力最適化もシリコン レベルで実装しています。「クロック ゲーティング」は、未使用の論理回路を無効化して、動的な電力散逸を削減します。未使用メモリも動的に「スリープ モード」になり、電力が節約されます。

これらの最適化と、ジュニパーの最新のMPCや光インターフェイスを組み合わせることで、MX2000シリーズは0.25W/GbEという驚くべき電力対スループット効率比を実現します。MX2020は、1GBのトラフィックを転送する際に、わずか4分の1の電力しか消費しません。

MX2000シリーズは、パワフルなBNG（ブロードバンドネットワークゲートウェイ）機能を提供し、現在と将来のブロードバンドサービスをプロビジョニングできます。MX2000 シリーズには、極めて高い加入者密度と、HQoS（階層型サービス品質）などの高度なブロードバンド エッジ機能があり、PPP（Point-to-Point Protocol）加入者終端、DHCP（Dynamic Host Configuration Protocol）、Pv4/IPv6 ローカル サーバー、および DHCP アクセス モデルに加入者が移行するためのリレー プロキシをサポートします。ジュニパーの BNG は、階層型キューイング、きめ細かな QoS、動的なマルチレイヤー サービス アクティブ化、RADIUS、バックエンド サービス統合用の Diameter のサポートによって、認証、ポリシー制御、アカウンティングが容易になり、柔軟な L2/L3 ホールセール モデルもサポートします。

MX2000 シリーズ ルーターには包括的な VPN ツールキットが含まれ、機能豊富なスタンダードベースのセキュアな相互連携に対応し、革新的なビジネス サービスを実現します。基本的なL2/L3 VPNとVPLSをサポートするほか、音声とビデオのQoS優先VPNトラフィック、VPN認識型マルチキャストおよびファイアウォール サービスなどの拡張VPNサービスを提供します。これらのサービスは、LDP-BGP/VPLS相互連携、P2MP LSP（Point-to-Multipoint Label-Switched Path）、BGPベースマルチキャストL3VPN、異種L2アクセスネットワークに接続するL2 VPN相互連携、MPLSプラグアンドプレイ、IPsec/GRE（Generic Routing Encapsulation）VPNなどの技術を活用しています。

豊富な機能を搭載した MX2000 シリーズ ルーターは、コア、統合型エッジ/コア、ピアリングの用途に最適です。主な機能には、大容量のシステム、拡張性の高い FIB、高密度な 400GbE インターフェイス、DWDM および IP/光対応、インライン ビデオ監視、ノード仮想化などがあります。さらに、Junos OS はネットワークのソース パケット ルーティング（SPRING、RFC 7855）をサポートし、信頼されたソース ノードで、通常の最短パス以外の転送ルートを特定のパケットに指定して送信できます。

MX2000シリーズ ルーターは、ルーティングとスイッチングのフル機能を搭載し、メトロネットワークとアグリゲーションネットワークに対する卓越したサポートを提供します。ネットワーク事業者は、自社のビジネスおよび技術上のニーズに合わせて導入モデルを選択できます。MX2000シリーズは、IP/IP VPNエッジルーター、E-VPN（イーサネットVPN）、VPLS–PE（VPLSプロバイダーエッジルーター）、MPLS LSR（ラベルスイッチングルーター）として、レイヤー2イーサネットスイッチまたはレイヤー3IPルーターとして導入できます。

MX2000 ルーターは、仮想/物理ネットワークと、さまざまな技術で運用される仮想ネットワークを相互接続するユニバーサル SDN ゲートウェイとして最適です。主要な機能には、MBGP（Multiprotocol BGP）、MPLS-over-GREまたはVXLANカプセル化を使用した動的トンネル、VRF（仮想ルーティングおよび転送）テーブルまたはE-VPN、Netconfのほか、設定とポリシーに基づいてVRFとグローバルルーティングテーブル間でトラフィックを送信するメカニズムなどがあります。

MX2000シリーズは、サービスコントロールゲートウェイの基盤として優れています。サービスコントロールゲートウェイは、ネットワークの状態、アプリケーションタイプ、加入者の権限、事業者のポリシーを考慮してネットワークサービスを提供する高度なソリューションです。Junos Application Awareでディープパケットインスペクション技法を使用して、アプリケーション単位でトラフィックの識別と分類を行い、Junos Subscriber Awareでトラフィックフローを生成元の加入者と関連付けます。このようにサービスコントロールゲートウェイは、差別化したサービスの作成と提供に対応し、Contrailクラウドプラットフォームと一緒に使用すると、トラフィックを作成して複雑なサービスチェーンに動的に送信できます。

サービスコントロールゲートウェイの詳細については、 https://www.juniper.net/content/dam/www/assets/datasheets/jp/ja/services/service-control-gateway-solution.pdfを参照してください。

このセクションでは、基本的な仕様をプラットフォーム別に説明します。詳細については、www.juniper.net/documentation/product/us/en/junos-osのハードウェアインストールマニュアルをご覧ください。

ジュニパーネットワークスは、ネットワークの高速化、拡張、最適化を実現する高度なパフォーマンスサービスに対応するリーダーです。当社のサービスをご利用いただくと、コストを削減し、リスクを最小限に抑えながら、業務効率を最大限に高めることが可能となり、早期にネットワーク投資の価値を高めることができます。ジュニパーネットワークスは、必要なレベルのパフォーマンス、信頼性、および可用性を維持するようにネットワークを最適化することで、運用効率を最大化します。詳細については、www.juniper.net/jp/ja/products.htmlをご覧ください。

シャーシあたり1つの加入者アクセス（SA）ライセンスが必要です。以下が提供されます。

• 加入者単位のRADIUSアカウンティング（時間および量に基づく）
• RADIUSベースの認証と許可
• 加入者ログイン時の RADIUS でのクライアント プロファイルを使用した加入者の設定や SDX ベースのアドレス（プール）管理
• 静的および動的IP管理
• 動的自動認識型VLAN

加入者サービス管理ライセンスは、加入者アクセスライセンスにオプションで追加でき、以下が提供されます。

• サービス単位のRADIUSアカウンティング（時間および量に基づく）
• RADIUS grants/access 受信による加入者ログイン時のサービス プロファイル アクティブ化/非アクティブ化（サービス アクティブ化/非アクティブ化 VSA）または SRC（RADIUS COA/RID）を使用した既存セションの変更
• サービスプロファイルのパラメーター化
• ANCP による同期レートに基づいた ANCP QoS 調整

その他のオプションの加入者サービス管理ライセンスは、以下の表に示されているように、インラインL2TP LNSトンネル、加入者ベースの合法的なインターセプト、バーチャルシャーシ、ポリシー管理システムとのインターフェイスをサポートします（MPC11Eを除く）。

これらの階層型ライセンスは、セッション数 4,000～256,000 に対応⁵し、1台のシャーシで使用できます⁶。MPC11Eには適用されません。

以下の階層型ライセンスは、セッション数 4,000～256,000 に対応し、1 台のシャーシで使用できます。

MPC11Eのフレックスライセンスにより、お客様は使用する機能のみの支払いが可能です。これらのライセンスは、以下の表に示されています。

ジュニパーネットワークスは、世界をつなぐ製品、ソリューション、サービスを通じて、ネットワークを簡素化します。エンジニアリングのイノベーションにより、クラウド時代のネットワークの制約や複雑さを解消し、お客様とパートナー様の日々直面する困難な課題を解決します。ジュニパーネットワークスは、ネットワークを世界に変革をもたらす知識の共有や人類の進歩のリソースであると考えています。私たちは、ビジネスニーズにあわせた、拡張性の高い、自動化されたセキュアなネットワークを提供するための革新的な方法の創造に取り組んでいます。

1000417 - 026 - JP 2021年12月