仮想ネットワークアシスタント「Marvis」
データシートのダウンロード製品概要
仮想ネットワークアシスタント「Marvis」は、ネットワーク管理者、SRE(サイト信頼性エンジニア)などのネットワークエキスパートで構成されたチームや、NOC(ネットワークオペレーションセンター)のチームなどをサポートするデジタルネットワークエキスパートです。Marvisは、対話型AIを導入した業界初のネットワークアシスタントで、IT運用チームと企業ネットワークの関わり方を変革します。
AIOpsの時代において、Marvisは以下を実現します。
- 運用の効率化
- トラブルシューティングの簡略化
- ユーザーエクスペリエンスの向上
対話型アシスタント
対話型アシスタントは、Siri、Cortana、Alexaなど、人間とコンピューターの関わり方を進化させ、私たちの日常生活の一部となるまでに長い道のりを歩んできました。銀行、小売業、ヘルスケアなどの様々な業界において、業務の効率化とパーソナライズされたエクスペリエンスをユーザーに提供することを目指す企業にとっては、戦略的な投資になります。そして今、Juniper Mist™において、Mist AIを活用した対話型アシスタントがエンタープライズネットワーキングに初めて導入されました。
Marvisは、自然言語処理(NLP)機能を自然言語理解(NLU)で強化し、ユーザーのインテント(意図)を理解して、返される結果(回答)の価値と品質を向上させる対話型アシスタントです。対話型アシスタントMarvisは、リクエストをコンテキスト化し、トラブルシューティングのワークフローを迅速化し、製品や機能に対する具体的な質問に答え、ネットワークに関する情報を提供し、あらゆるタイプのネットワークデバイスを検出するのをサポートします。Marvisが提供する具体的な機能は次のとおりです。
- 数回クリックするだけで、ネットワークに関する回答をリアルタイムで取得
- NLUとNLGを採用した高度なNLPにより、一般的な表現のステートメントや問い合わせからユーザーのインテントを推測
- ユーザーからのフィードバックから学習し、具体的なユーザーエクスペリエンスの改善
- 「RRMを設定する方法は?」や「APの容量は十分あるのか?」などのトラブルシューティング以外の一般的な表現で質問可能
Marvisは、トラブルシューティングやサポートの面でITチームの大きなサポートとなるため、問題を解決し、問題なしと判断するまでの時間を短縮することができます。ユーザー、クライアント、デバイスの情報を含む包括的なネットワークビューを表示するため、複数のダッシュボードを表示したり、CLIコマンドを覚えたりする必要がありません。MarvisはITチーム一員であり、データとログを調査し、根本原因を特定し、高い有効性でリアルタイムに答えを提供します。
Marvisは、ITチームがネットワークの状態を把握するためワンストップ窓口となります。Mistダッシュボードのどのページからもアクセスできるため、CLIコマンドを暗記したり、どのダッシュボードに関連情報があるのかを把握する必要がありません。問題の解決方法をすぐに得られるため、ITチームのエクスペリエンスとネットワーク運用の方法が大きく変わります。
アクションによるクライアントからクラウドへのビュー:Self-Driving Networkへの移行
Marvis Actionsは、運用の簡素化を推進し、ITのトラブルシューティングを事後対応から事前対応に転換することができます。仕事の始まりと同時に確認するビューからは、企業レベルで大きな影響をおよぼすネットワークの問題を可視化でき、管理者はその日に優先的に取り組むべきことを正確に把握することができます。サイトが追加されても、Marvis Actionsはユーザーによる追加設定を必要としないため、簡単に拡張することができます。
Marvisが、ITドメイン(WLAN、LAN、WAN、セキュリティ、アプリケーション)全体で問題の根本的原因をプロアクティブに特定し、クライアントがデータセンターまたはクラウド(クライアントからクラウド)のアプリケーションにアクセスする際に見られる、大きな影響をおよぼすすべての問題に対するインサイトを提供します。ユーザーの許可を得て、自動的に問題を解決したり(自動運転モード)、将来的にはユーザーの介入を必要とする行動を推奨したり(運転支援モード)することができます。完了後、Marvisはフィードバックループを閉じるにあたって、Mist AIエンジン内でアクションが正しいかどうかを検証します。このようにしてMist AIエンジンはITチームの信頼を得ながらMarvisの学習をサポートします。
Juniper Mist™ Wired Assuranceの場合、Marvis Actionsの一部を表示しています。Marvisは、接続に失敗した有線クライアントを分離し、ポートに接続されている不良ネットワークケーブル、ポート設定の不一致、L2ループ、DHCP障害のスコープ、認証に失敗した有線クライアント、継続的なポートのフラップを特定します。また、ユーザーがMarvisに今後自動化を要求することができるポートを無効にするオプションも用意されています。
また、欠落しているVLANタグを自動で追加し、誤ったポートモード設定を修正し、障害が続いている無線クライアントの隔離も行います。また、サードパーティ製スイッチの欠落しているVLANも特定します。Juniper Mist™ Wi-Fi Assuranceの場合、Marvis Actionsは、任意のサイトでファームウェアがアップグレードされていないAPを分離し、APがオフラインになったときの根本原因と障害スコープを出力し(サイトまたはスイッチがダウンした場合)、障害が継続的に発生する無線クライアントを分離し、カバレッジホールや、容量不足のAPまたは場所を検出し、不良ケーブルに接続されているAPを特定し、欠落しているVLANを検出します。もう1つの独自の機能として、RADIUS、DHCP、DNSサーバー、ARPゲートウェイなどのアップストリームサービスやデバイスの問題に対するインサイトも提供します。
根本的原因の分析にはサーバーの障害だけではなく、サイトまたは企業全体のAP、スイッチ、WLANに見られる完全な障害も含まれます。
さらにMarvisは、正常動作していないジュニパーアクセスポイントに対して事前対応型にRMA(返品許可)を発行することで、AIドリブンサポートを実現します。サポートチームが手動で行っていたトラブルシューティングのチェックポイントをなくし、時間と労力の大幅な削減を実現するとともに、ユーザー、デバイス、クライアントの全体的なエクスペリエンスを向上させることができます。
また、MarvisではAPIドリブンインターフェイスを採用しているため、Webhookや電子メールアラートを介してアクションをトリガーし、お客様のシステムでサポートチケットや作業指示を自動作成することができます。
一部のアクションについては、こちらをご覧ください:https://www.mist.com/documentation/category/marvis-actions/
次世代レベルのデジタルツイン
これまで、問題の特定と解決は常に事後対応で行われてきたため、ITチームやユーザーなどにとって、ストレスの多い、不満の種となっていました。それを変革するのが、業界初で唯一のAIネイティブネットワーキングデジタルエクスペリエンスツインのMarvisです。
世界で初めて、人間が介入することなく、ネットワーク自体がAIを活用して、障害や問題が起こる前、または、リアルタイムに検出できます。仮想ネットワークアシスタント「Marvis」に追加された機能Marvis Miniが、貴社ネットワークのエンドユーザー、クライアント、デバイス、アプリのトラフィックをシミュレートし、教師なし機械学習を用いて、ネットワークのふるまいとニーズを継続的に把握します。
従来のデジタルツインソリューションや合成テストソリューションとは異なり、手動の設定やハードウェアやソフトウェアの追加は不要です。ハードウェアやソフトウェアはネットワーク自体に直接統合されており、常時稼働となっています。展開方法は、自動またはトリガーイベント(ネットワーク構成に変更があった後など)のいずれかを選択できます。ネットワークサービスで障害が発生すると、Miniが速やかに障害を検証し、その影響範囲を特定します。Miniにより、迅速かつ確実に問題を特定して修正できるため、ユーザーエクスペリエンスを大幅に向上することができます。
Marvisクライアント
Marvisクライアントは、現在AndroidおよびWindowsデバイス向けに提供されています。エンドユーザーのデバイス上に保存されるソフトウェアエージェントで、クライアントのローミング行動などの詳細なクライアントデバイスのプロパティを収集し表示します。
さらに、Marvisクライアントは、携帯電話やWi-Fiといったデバイスの接続形態と、それに対応する信号強度を認識します。粒度の細かい補足情報が得られることで、管理者はクライアントの視点からWi-Fiエクスペリエンスを直接理解できます。
Marvisクライアントは、デバイスクライアントのデータをさらに強化します。基本的なフィンガープリントだけでなく、デバイスの種類、メーカー、異なるOSのバージョンなど、さらに詳細な情報を提供できます。クライアントAPKから得られる情報が詳細であればあるほど、Mist AIエンジンはより高度にデバイスを分類できます。Marvisは常に学習しており、OSバージョン8.1.0が特定のクライアントに影響を与えていることを明確に特定するなど、デバイスに固有の問題とデバイス全体の問題を区別する能力を向上させています。
異常検知
MarvisではSLE内に異常検知が組み込まれており、サービスに影響を与えるイベントが発生すると管理者に通知され、問題の根本的原因を迅速に特定および解決できます。異常検知は、機械学習を自動的に適用してサービスのベースラインを確立し、既知の標準からの逸脱があった場合に通知をトリガーします。この機能では、第3世代の長短期記憶(LSTM)と回帰型ニューラルネットワーク(RNN)を採用することで有効性を95%以上までに高めており、誤検知を最小限に抑えています。
ChatGPTの統合
ジュニパーは、MarvisのCI(対話型インターフェイス)を拡張し、特にドキュメントとサポートの問題に関して、より人間らしい対話機能を提供しています。具体的には、ChatGPTのインターフェイスを利用して、ジュニパーが公開しているナレッジベース情報を検索できるようになりました。
Zoomとの統合
Zoomとの新しい統合機能により、Marvisは先進のAI(人工知能)とML(機械学習)技術を活用して、Zoomクライアントのユーザーエクスペリエンスに関する主なアプリケーションデータを収集し、有線、無線、WANの主なデータと関連付けて、ビデオ会議の問題の根本原因を迅速に特定できます。
Zebra無線の統合
MarvisクライアントとZebraの無線インサイトを組み合わせることで、デバイスの使用中にネットワーク、接続性、アプリケーションの問題(音声)をインラインで可視化できます。これにより追加の合成試験を行わずに、デバイスのWi-Fi エクスペリエンス(デバイス別に表示)を提供します。
クライアントのサービスレベル期待値(SLE)
MarvisはクライアントSLEフレームワークを補完します。機械学習を応用して、継続的な行動分析とネットワークトラフィック分析を実施することで、クライアントとデバイスのエクスペリエンスを追跡および監視します。これらの傾向を理解することで、IT部門はトラブルシューティングや計画を行うためのより詳細なインサイトが得られます。
マルチベンダースイッチのインサイト
IT部門はMarvisを使用することで、ジュニパーアクセスポイントに接続されているジュニパー製およびサードパーティ製スイッチ両方の以下に関する健全性統計データを収集できます。
- スイッチに接続されているアクセスポイント数
- 接続されたデバイスの消費電力を管理し、バランスをとるために有用なPoEコンプライアンスのステータス
- APが接続されているが、クライアントがブロックされているスイッチポートに誤って設定されているVLANの識別
- 異種ハードウェアを実行しているスイッチのバージョンコンプライアンス
- スイッチの稼働時間
1000698 - 004 - JP 2024年1月